DLSS 5 の導入方法:実際に動いた手順と、私がはまった5つの罠
公開: 2026年9月1日
丸一日かかった。手順が難しいからではない。ネット上のガイドがどれもうまくいった場合——一発で動いた ケースだけを書いているからだ。動かないときのことは、どれも黙っている。
ここに書くのは、その足りない部分だ。どの工程で壊れたのかをログからどう突き止めるか。なぜ半数の人が 「全部入れたのに何も変わらない」で止まってしまうのか。そして失敗の最大の原因が Mod ではなく、誰も見て いないゲーム内のたった一つの設定だという話。
すべて自分のマシンで確認した。RTX 5070 Ti、ドライバ 616.56。2本のゲームで動かし、3本目で壁にぶつかり、 その壁が何なのかを突き止めた。
9月13日更新。 リリースから10日、公式のほうは何も動いていない。ゲームは1本、カードは1シリーズの まま。そのぶん Mod 界隈は荒れた一週間だった。いちばん大事なのはドライバの罠だ。616.64 以降では Mod 版の ニューラルネットが多くの環境で起動しなくなり、616.56 に戻すと直る。私が全部を検証した、まさにあの バージョンだ。ほかにも DLSS 5 が Radeon で動くようになり、2枚目のグラフィックスカードで計算させる手も 生まれた。ネットにはウイルス入りのそっくりサイトまで湧いている。どの話題にも、下にそれぞれの節がある。
要点だけ:対応カード、リリース日、有効にする方法
たいていの人が知りたいのは、次の四つだ。詳しくは本文に書いたので、ここでは一行ずつ答える。
DLSS 5 に対応するグラフィックスカードは? 公式には RTX 50 ならどれでも、デスクトップでもノートでも いい。RTX 40 は後日対応と約束されているが日付はなく、RTX 20 と 30 には何の約束もない。クラウドなら GeForce NOW Ultimate が使える。中身は RTX 5080 だ。Mod を使えば RTX 20〜40 でも、さらには Radeon RX 9000 でもニューラルネットが動く。これには別に節を設けた。
DLSS 5 はいつ出た? 2026年9月3日、ドライバ GeForce Game Ready 616.64 WHQL と同時だ。
ドライバはどれが要る? NBA 2K27 なら 616.64 以降。Mod では話が逆になる。いちばん確実なのは 616.56 で、それより新しいと多くの環境でニューラルネットが落ちる。詳しくは必要なものの節で。
DLSS 5 を有効にするには? ゲームによる。そしてこれが、この記事全体の大きな分かれ道だ。公式に対応 している唯一のゲーム NBA 2K27 では、スイッチは Video Settings → DLSS Neural Rendering にある。それ以外に 公式の方法はない。NVIDIA App に「どこでも有効化」のスイッチは付かず、ニューラルレンダリングを有効にするか はゲーム開発者が決めることだ。そこから道は二つ。DLSS を持つゲームならファイルを差し替えるか、 DLSS がまったくないゲームにアドオンで入り込むか。どちらも手順を追って解説し、ログでの確認 も付けた。これがないと、どの工程で壊れたのか分からない。
DLSS 5 とは何か、なぜいまも Mod として出回っているのか
DLSS 5 は出た。2026年9月3日、ドライバ GeForce Game Ready 616.64 と同時のリリースだ。ただし喜ぶには 早い。公式に対応しているゲームはちょうど1本、NBA 2K27 だけで、動くのは RTX 50 のみ。RTX 40 への対応は 後日と約束されている——NVIDIA は先に50番台で仕上げると言っている。RTX 20 と 30 には何も約束がない。
そして肝心なのはここだ。NVIDIA App に DLSS 5 のスイッチは付かない。ニューラルレンダリングを有効に するかどうかはゲーム開発者の判断であり、アップスケーラーにあるような「DLSS 5 Override」は来ない、と NVIDIA がはっきり認めた。予告されているタイトルの一覧は長い——Assassin’s Creed Shadows、Starfield、 Hogwarts Legacy、Resident Evil Requiem、Oblivion Remastered、Phantom Blade Zero、NARAKA: BLADEPOINT ほか十数本——が、日付の付いたものは一つもなく、Rockstar のゲームも Kingdom Come もそこには入っていない。
だから以下に書いたことは何も古びていない。NBA 2K27 以外でニューラルレンダリングが欲しければ、自分の手で
入れることになる。入れるのは、その NBA 2K27 の早期アクセス版から見つかった 158 MB のライブラリ
nvngx_dlssnr.dll だ。中には 1億4800万個のニューラルネットワークのパラメータが入っている。これ単体では
何もしない。ゲームのフレームを横取りしてモデルへ渡す仲介役が要る。その役目を果たすのが、コミュニティが
RenoDX プロジェクトを軸に作った ReShade 用アドオンだ。
DLSS 5 が実際に何をするのかは理解しておきたい。これはアップスケーリングではない。アップスケーリングは DLSS 4 のほうで、解像度を作り出す。ニューラルレンダリングは完成したフレームに対して働き、光や質感、表面の 細かな構造を作り直す。とくに顔と肌で目立つ。だからこそ、この技術への最大の批判も「美肌フィルター」だ ——強度を上げすぎるとキャラクターが蝋人形のようになる。
始める前に飲み込んでおくべき結果が二つ。
- 流出ファイルから作られた非公式ビルドである。 法的な意味での海賊版ではないが、NVIDIA の配布物でも ない。Discord とアップローダーを渡り歩いている。
- マルチプレイでは出番がない。 ゲームのプロセスに外部ライブラリを注入する行為だ。アンチチートは それを明確に検知し、代償はアカウントの停止になる。シングルプレイ専用と考えること。
正式リリース:Mod なしで今すぐ動くもの
記事でいちばん短い節だ。Mod の要らないところに Mod を入れずに済むよう、先に書いておく。
- ドライバ — 9月3日付の GeForce Game Ready 616.64 WHQL 以降(いまの最新は9月9日付の 616.92)。 NVIDIA App かサイトから入れる。
- ゲーム — NBA 2K27。Video Settings → DLSS Neural Rendering で有効にする。試合中は F9 で 切り替わるので、同じシーンで「前と後」を正直に見比べられる。
- グラフィックスカード — RTX 50 ならデスクトップでもノートでもよい。ほかに GeForce NOW Ultimate と いう手もある。中身は RTX 5080 だ。
- RTX 40 — 約束はされているが、後日、日付なし。
10日が過ぎたが、NBA 2K27 はいまも唯一のゲームのままだ。その後もドライバは出ているが、新作に追加されたのは DLSS 4.5 のほうで、ニューラルレンダリングはどこにも増えていない。
リリースがそもそも成立した理由は、数字ひとつで説明がつく。NVIDIA は半年でモデルを 5倍 速くした。 「RTX 5090 が2枚必要」だったものが、ラインナップのどの1枚でも動くようになった。それでタダになった わけではないが(性能の節を参照)、配れるようにはなった。
最初のレビューからひとつ観察を。公式の実装は Mod よりかなり穏やかだ。NBA 2K27 の効き方は、Modder が 他人のゲームで振り切っているものに比べて控えめで、蝋人形のような顔にはならない。Mod で撮られた 「DLSS 5 ON/OFF」の比較動画で技術を判断していたなら、NVIDIA が出しているものは見ていないことになる。
必要なもの
四つ。すべてゲームの実行ファイルの隣に置く。ここで早くも一つ目の細かい話——exe は思っている場所に あるとは限らない。
| ファイル | 何か | 入手先 |
|---|---|---|
| ReShade 6.8.0 Addon | dxgi.dll として入る | reshade.me |
renodx-dlss5.addon64 | 仲介役のアドオン | RenoDX の Discord |
nvngx_dlssnr.dll | ニューラルネット本体、158 MB | RenoDX の Discord |
nvngx_dlss.dll | アップスケーラー、できれば新しいもの | TechPowerUp |
ReShade の行はよく読むこと。 サイトにはダウンロードボタンが二つある。必要なのは二つ目、 with full add-on support と書かれたほうだ。通常ビルドはアドオンを読み込めない——「Add-ons」タブが そもそも存在しない。二人に一人はここでつまずく。
ドライバの話は、この一週間でひっくり返った。 アドオンと OptiScaler のフォークに必要な最低ラインは 616.56 で、それより古いものは使わないこと。ニューラルネットが起動しないか、ゲームごと落ちる。一方で、 新しいものを追いかけるのも今はやめたほうがいい。616.64 以降(現時点の最新は 616.92)では、Mod 版の ニューラルネットが NVIDIA のランタイムの中で落ちるケースが多い。導入は通り、アドオンも読み込まれるのに、 ゲームには何の効果も出ない。DLSS5-Swapper も、Mod を入れる前にこの点をはっきり警告してくる。ただし報告は 割れていて、新しいドライバでも普通に動いている人はいる。とくに MSI Afterburner と RivaTuner を閉じた 場合だ。だからまずは今入っているドライバのまま、オーバーレイを閉じて試す。それでだめなら 616.56 に戻す。
616.56 にも弱点がある。画面のちらつき、つまり一瞬だけ黒や白に光る現象だ。出やすいのはチャンネルあたり 8 ビットで出力しているときで、NVIDIA コントロールパネルで色深度を 10 ビットに切り替えたら消えた、という声が 多い。NVIDIA 自身はこのちらつきを Hotfix の 616.86 と 616.92 で直した。よりによって、Mod がへそを曲げる バージョンで、である。
最後にもう一つ。NBA 2K27 の公式 DLSS 5 には 616.64 以降 が必要だ。公式のニューラルレンダリングと Mod 版を同じドライバで両立させるのは、今のところ難しいかもしれない。
導入手順:DLSS を持つゲームの場合
基本形は、設定に DLSS がすでにある DirectX 12 の現行タイトルだ。Kingdom Come: Deliverance 2 を例に話す。 罠の見本市がそこに揃っていたからだ。
手順1. 本当の実行ファイルを見つける。 KCD2 ではルートではなく
Bin\Win64MasterMasterSteamPGO\KingdomCome.exe にある。サイズはわずか 1.5 MB——薄い殻でしかなく、
レンダラーは隣の 85 MB の WHGame.dll に丸ごと入っている。DLSS 5 の自動インストーラーがこのゲームを
拒んでいたのはそのためだ。exe のインポートテーブルを読み、DirectX が見つからず、「ここにゲームはない」と
宣言していた。その代表格はその後まるごと書き直されたが(下で触れる)、実際にレンダリングしているのは
どのファイルかを確かめる習慣は残しておきたい。ランチャーの薄いゲームではどれでも役に立つ。
手順2. ReShade を入れる。 その exe を指定し、Direct3D 12 を選ぶ。同梱のシェーダーパックや アドオンのチェックはすべて外す。どれも要らない。
手順3. ファイルを配置する。 アドオンと nvngx_dlssnr.dll を実行ファイルの隣へ。ゲームの DLSS
ライブラリが別フォルダにある場合(KCD2 なら Bin\Win64Shared)、ニューラルネットは両方に置く。
大きいファイルだが、158 MB が二つあっても破産はしないし、どちらから読み込まれるのかという疑問が
消える。
手順4. ゲーム内で DLSS を有効にする。 ここは飛ばさないこと。下にまるまる一節を割いている。
手順5. ゲームを起動して Home キー、Add-ons タブを開き、DLSS 5 Neural Rendering の項目を探す。 そこで主スイッチ Enable DLSS Neural Rendering をオンにする。初期状態ではオフだ。
そのあとスライダー類。NR Intensity は 0.5 から始め、Automatic Mask は必ずオンにする(これがないと
モデルはフレームのどこが肌なのか分からない)。そして NR Preset は一通り試す。これは本当に別物の
モデルが三つあるということで、どのスライダーよりも差が大きい。
ログで確認する
どのガイドにも載っていないのがこの部分だ。画面を見て推測せず、実行ファイルの隣の ReShade.log
を見ること。 動いているかどうかを、これがはっきり答えてくれる。
成功を意味する3行。
signed DLSSNR 310.8.0 D3D12 runtime initialized
created inline NR resources 1280x720 -> 2560x1440 (upscaling)
inline feature 18 evaluation succeeded (count=60)
count はフレームごとに増える。増えているならニューラルネットは本当に計算しており、残りは味付けの
話でしかない。
動いていない場合の診断は3通り。
| ログの内容 | 意味 |
|---|---|
skipped an NGX evaluation with incompatible guide/output dimensions | アドオンから DLSS は見えているが、そのゲームのバッファの渡し方に対応できていない。アドオンのビルドを替える |
| フックは掛かったが呼び出しが一切ない | ゲーム内で DLSS がオフになっている |
Registered add-on の行そのものがない | ReShade のビルドが違うか、アドオンのファイル名が正しくない |
そして、理由もなく人を怖がらせる一行。
ERROR | Failed to find NVSDK_NGX_D3D12_EvaluateFeature_C
これは無害だ。 アドオンはエントリポイントの候補を順に試し、1ミリ秒後には通常のものに掛かっている。 完璧に動作している構成でもこの行は出る。私はこれで1時間を失った。
私がはまった5つの罠
1. アップスケーラー一覧の「Native」は「オフ」の意味
いちばん厄介で、いちばん多い。グラフィック設定で技術(DLSS / FSR / XeSS)を選び、その隣で品質モードを 選ぶ。そしてその一覧に Native がある。
理屈からすればネイティブ解像度、最高画質のはず。実際の意味は「アップスケーラー無効」だ。DLSS は まったく起動せず、ニューラルネットは横取りするものがなく、揃えたファイル一式は死んだまま置かれる。
私は最初から正しく組めていた構成のデバッグに半日を使った。ログは沈黙したままで、原因はドロップダウン 一つだった。
2. グラフィック設定メニューは入るたび設定を書き直す
モードを設定してメニューを出ると、ゲームは変更した項目だけでなく画面にあったものすべてをプロファイル に書き込む。別の項目を見にもう一度入ると、アップスケーラーのモードが黙って元に戻っている。
三回続けて引っかかったあげく、値をプロファイルのファイルに直接書くようにした。設定が「保存されない」なら、 まず間違いなくこれであって Mod ではない。
3. ボーダーレスウィンドウはゲームの解像度を無視する
美しい罠だ。ゲームの設定には 2560×1440 と書いてあり、2K で遊んでいるつもりでいる。実際には——
Windows がアプリに申告する値: 2560x1440
グラフィックスカードが実際に出す値: 3840x2160
モニターは物理的に 4K で、Windows の拡大縮小(スケーリング)は 150% になっている。ボーダーレスウィンドウ では、ゲームはデスクトップの物理解像度を採用し、自分の設定を無視する。本物の全画面(排他フルスクリーン) に切り替えれば直る。
確認は簡単だ。PowerShell の Get-CimInstance Win32_VideoController がカードの実際のモードを表示する。
ゲームで選んだ値と食い違っていれば、「なぜこんなに重いのか」の答えはそこにある。
4. ニューラルネットはレンダリング解像度ではなく出力解像度で計算する
性能面での肝であり、まったく自明ではない。
DLSS のモードが決めるのは、ゲームが描く解像度だ。ニューラルレンダリングは完成したフレーム、 つまり出力解像度で働く。ここから面倒な結論が出る——Quality から Performance へ落とすとゲームは軽くなる が、ニューラルネットは軽くならない。
効くレバーは出力解像度だけだ。4K から 1440p へ落として、ちょうど 2.25 倍になった。ピクセル数の比率 そのままである。
9月12日までに、このルールには例外ができた。ニューラルネットをアップスケーラーの「前」、つまりレンダリング 解像度で走らせるビルドだ。たとえば Radeon 向けの Mod(下で触れる)がそうで、こちらでは FSR のモードが 再びニューラルネットの値段を左右する。Native から Quality に切り替えると、30 fps が 57 fps になる。ただし そのぶんモデルが見るフレームは小さくなるので、画質がその代償をどう払っているかは自分の目で確かめてほしい。 私が計測したのは RenoDX のアドオンで、こちらは出力解像度でニューラルネットを走らせる。
5. アドオンのビルドが古い
最終的にすべてを解決したのはこれだった。三世代遅れのビルドと丸一日戦っていた。
インストーラーが配っていたもの 382 KB
動いたビルド 1.62 MB (V4.6)
現時点の最新 v4.7
ハッシュで裏も取った。人気の「ワンクリック」インストーラーが持ってきたのは、手元にあった古いファイルと バイト単位で同一の代物だった。新しいビルドがあるのは RenoDX の Discord のピン留めメッセージで、 ほぼ毎日出ている。うちで V4.6 が動きはじめてから5日のあいだに v4.7 が出た。いまはその設定に外部の オーバーレイまでつながる。
現行版を置いた途端、ほかを何も変えずに初回起動で動いた。
DLSS のない旧作
こちらは別の話だ。ゲームに DLSS がなければ横取りするものがなく、基本の手順は使えない。
最大の壁はビット数だ。 アドオンもニューラルネットも 64 ビットのコードとしてしか存在しないのに、旧作の 多くは 32 ビットで、32 ビットのプロセスは 64 ビットのライブラリを読み込めない。
迂回路は四つ。
- DLSS5-Feeder は足りないデータ——深度とモーションベクター——を ReShade 経由で合成し、32 ビットの ゲームには別途 64 ビットの補助プロセスを立てて、テクスチャをビデオメモリ経由でプロセス間に渡す。 DirectX 9 にはさらに dgVoodoo2 が加わる。ゲームを DirectX 11 に翻訳する層だ。
- OptiScaler は以前はゲーム自体に DLSS を足すだけで、そのあとは基本の手順が通った。8月末からは
フォークの OptiScaler_DLSSNR があり、こちらは
ニューラルネット自体を走らせる。アップスケーラーの後に別パスとして掛かるので、ReShade も RenoDX の
アドオンも要らない。9月3日時点で DX12、ブリッジ経由の DX11、ネイティブ Vulkan に対応し、アドオンに
ない機能もある。モデル解像度のスライダー(以前は 100% で頭打ちだったが、いまは上へも動き、出力側に
ダウンスケーラーを噛ませて 2倍 まで)と、まったく同じフレームで「前と後」を比べるためのフレーム
固定だ。導入はゲームのフォルダに展開して
setup_windows.batを実行するだけ。nvngx_dlssnr.dllは 同梱されないので、自分で置く。このフォークが掛かるのは DLSS だけではなく、FSR と XeSS にも掛かる。現行 ビルドは9月4日付の 0.2.0-patch1 だが、0.1.1.5 で動いていたゲームの一部がこれで壊れる。そのため DLSS5-Swapper は両方を抱えていて、ゲームごとに合うほうを入れる。 - マルチパス は ShortFuse による RenoDX DLSS Tool のビルドだ。ゲームの DLSS ではなく完成したフレームの 出力に掛かるので、DLSS のないゲームでも動く。対象は DirectX 12、DirectX 11、64 ビットの DirectX 9。 肝は繰り返しにある。ニューラルネットが同じフレームを最大10回続けて処理し、毎回ひとつ前の結果の上に 重ねていく。パス1回ごとに1回目と同じだけフレームレートを食うので、まずは2〜3回から始めること。いちばん 簡単なのは DLSS5-Swapper から入れる方法で、ルート名は multipass。設定は Home キーで開く ReShade の メニューにある。
- RTX Remix。そのゲーム向けの対応 Mod があるなら。
いちばん結果が良いのは最後で、最良の例が GTA IV だ。Mod gta4-rtx は太古のレンダラーをパストレーシング付きの現代的な ものへ丸ごと置き換え、その上にニューラルネットが標準的な形で乗る。コミュニティでは、DLSS 5 との相性が いちばん良いゲームとまで言われている——2008年の作品なのに、である。
条件は二つ。バージョン 1.2.0.59 ちょうど(Complete Edition)が必要で、CPU がボトルネックになる覚悟が 要る。Mod の作者もそこははっきり警告していて、コアを固定するためのバッチファイルまで同梱している。
DLSS5-Feeder にもこの一週間で動きがあった。バージョン 0.15 からは、フレームを RenoDX のアドオンだけでなく OptiScaler DLSS-NR にも渡せるようになり、導入もリリースに入っている PowerShell スクリプト一本で済む。 使うなら 0.15.1 を。0.15.0 では HDR でニューラルネットがハイライトを白飛びさせていた。
もう一つ別のケースが、DLSS は「ある」のに DirectX 11 か Vulkan で動くゲームだ。この記事の本筋である RenoDX アドオン経由の道は DX12 前提だが、こうしたゲームには DLSS 5 Bridge がある。フレーム、深度、モーションベクターを別の DX12 セッションにコピーし、そこで通常のアドオンに処理 させて、結果をゲームに戻す仕組みだ。DLSS がまったくないゲーム向けには NVIDIA Optical Flow を使う予備の モードもあるが、そちらでは文字がにじみ、木の葉がぼやけると作者自身が正直に書いている。安定版は 1.4.12。
GTA IV:ReShade を使わない道
このケースは節を分けるに値する。ここまでの話とはまるで作りが違うからだ。GTA IV では ReShade も RenoDX のアドオンも要らない。
Mod gta4-rtx は古いレンダラーを RTX Remix に差し替える。
Remix 自体が 64 ビットで、Vulkan の上で動き、DLSS 5 を標準でサポートしている。足場は一切不要だ。
nvngx_dlssnr.dll を NvRemixBridge.exe の隣、.trex フォルダに置くだけでいい。
残りは Remix が自前で持ってくる。nvngx_dlss.dll、nvngx_dlssd.dll(ほかのどのゲームでも手に入らなかった
Ray Reconstruction)、そして nvngx_dlssg.dll だ。
どこで有効にするか
ここが最初の罠。Alt+X で開くのは簡易メニューで、そこには画質プリセットしかない。ニューラルネットは 二つ目のメニューに住んでいて、そこへ行く道は二つある。
- 開いたメニューの Developer Settings Menu ボタンを押す。
- あるいは
rtx.confにrtx.defaultToAdvancedUI = Trueの行を書き足す。すると Alt+X が最初から正しい ほうを開く。
その先は Rendering タブ → Post-Processing → Neural Uplift (DLSS-NR)。スライダーの意味は
アドオンと同じで、Intensity、Style(0〜2)、Local Tone Strength、Auto Mask。一方で
Hint Render Preset をいじっても無駄だ。ライブラリ 310.8 では何も選ばない、とランタイム自身が説明文に
書いている。
ログで確認する
ログは別物で rtx-remix\logs\remix-dxvk.log にある。成功の4行はこれだ。
[DLSS-NR] Loaded .trex\nvngx_dlssnr.dll
[DLSS-NR] Caller check bypassed
[DLSS-NR] Snippet initialized
[DLSS-NR] Created the Neural Uplift feature (id 18, preset 0) at 3840x2160
面白いのは2行目。ライブラリの中には呼び出し元のチェックが入っていて、どのモジュールから呼ばれたかを
見て、部外者をはねる。Remix はこれに対して nvngx.dll だと名乗り、通過する。うまくいかない環境向けに
明示的なスイッチもある——rtx.neuralUplift.bypassCallerCheck だ。
ほかでは出会わない三つの罠
1. Windows Defender が Mod を食べる。 a_gta4-rtx.asi はインジェクターが読み込むライブラリで、
アンチウイルスはその動き方そのものを理由に消しにかかる。しかも二度続けて——インストーラーが戻し、
Defender がまた持っていく。外から見ると「Mod は入っているのに何も起きない」という顔をしている。ゲームの
フォルダを除外に登録するか、保護の履歴から隔離されたファイルを復元すれば直る。
2. フレームリミッターはモードを変えるまで黙っている。 FusionFix のフォークには
GTAIV.EFLC.FusionFix.ini の FpsLimit があるが、そのコメント自身がこう書いている——値が読まれるのは
ゲームのメニューで Custom モードが選ばれているときだけ。ほかのモードではファイルは無視され、何も
しない設定をいじっていることになる。
フレーム上限はここでは他のどこよりも効く。パストレーシングはカードを丸ごと使い切るので、上限は 画質を落とさずに余裕を作れる唯一の手段だ。
3. OBS がゲームを見つけない。 ウィンドウは GTAIV.exe のものだが、フレームを作っているのは
NvRemixBridge.exe で、Game Capture は別のプロセスに掛かってしまう。おまけに排他フルスクリーンは
ウィンドウ一覧にすら出てこない。使えるのは Display Capture か、Alt+Enter でウィンドウモードに移ることだ。
期待してはいけないこと
キャラクターはカクカクしたままだ。 置き換えパックが覆うのは車両、光、エフェクト、背景オブジェクト。 スケルトンを持つメッシュ——アニメーションで変形するもの——を Remix は差し替えられない。近寄れば 2008年の 正直なジオメトリが見え、パストレーシングは硬い光でその面の一つ一つをかえって際立たせる。これは DLSS 5 でも高ポリゴンのモデルパックでも直らない。後者が扱うのは物であって、人ではないからだ。
GTA V Enhanced:BattlEye と赤い警告
ここには固有の障害が二つあり、どちらも時間を持っていった。
BattlEye が dxgi.dll の読み込みをブロックする。 ランチャーのログに「ファイルの読み込みをブロック
しました」という行が出て、ReShade はそもそも起動しない。Steam のゲームのプロパティで起動オプション
-nobattleye を付ければ解決する。そのあとゲームは Online に入れなくなるが、正直これは保険でもある。
インジェクターを入れた状態で入ってはいけない場所だ。
赤い「設定を保存できません」の警告。 セッションの間ずっと画面に居座り、ファイルの権限を確認しろと 助言してくる。この助言は嘘で、権限はまったく関係ない。
GTA は一つのプロセスの中に ReShade のランタイムを二つ作る。モード選択画面用と、ゲーム用だ。両者は
一つの ReShade.ini を共有していて、競争に負けたほうがそれを掴めず、苦情を画面に書き出す。権限、属性、
相対パスと絶対パス、設定ファイルの分離、プロキシライブラリの名前、ランタイム同期用のアドオン、ReShade の
再インストール、Defender のフォルダー保護、BattlEye——一通り試した。どれも効かない。
外側からは直せない。 原因は ReShade の内部にあり、このメッセージを黙らせる設定は存在しない。 ニューラルネットの動作にはまったく影響しない。目障りなだけだ。
RTX 50 以外:旧世代の GeForce と Radeon
公式にニューラルレンダリングが使えるのは RTX 50 だけだ。Mod がその境界を押し広げたが、一段下がるごとに 何かを代償として払うことになる。
RTX 40、30、20。 パッチ済みの nvngx_dlssnr.dll が必要になる。これらのカードに存在しない命令を
置き換えたもので、RenoDX の Discord のピン留めメッセージにある。その先は上に書いたとおりで、RenoDX の
アドオン、OptiScaler DLSS-NR、マルチパスが使える。DLSS5-Swapper はバージョン 2.2.3 から古いカードを
門前払いしなくなり、ゲームのフォルダにパッチ済みライブラリがすでにあれば上書きもしない。
Radeon RX 9000 と 7000。 9月3日に DLSS-NR on AMD という
プロジェクトが現れた。CUDA をエミュレートしているわけではない。作者がニューラルネットのランタイムを AMD の
ハードウェア向けにゼロから書き直しており、NVIDIA のコードは中に入っていない。それでも
nvngx_dlssnr.dll(バージョン 310.8.0.0)は自分で用意する。条件は次のとおり。
- Windows 11 と、Adrenalin ドライバ 26.1.1 以降。
- FSR を持つ DirectX 12 のゲーム。GeForce でアドオンが DLSS に掛かるのと同じように、この Mod は FSR に 掛かる。だからゲーム側で FSR 3 か FSR 4 をオンにしておく。モードは何でもいい。
- 検証済みは RX 9070 XT。作者によれば RX 7000 でも動くはずだが報告は少なく、それより古いカードは非対応。
- Vulkan はまだ予告だけ。
導入はインストーラー一つで済む。dlssnr_on_amd_setup.exe をゲームの実行ファイルの隣(Cyberpunk 2077 なら
bin\x64)に置き、同じ場所にライブラリも置いて実行する。アップデートもアンインストールも同じインストーラー
で行う。ゲーム内のメニューは End キーで開く。
結局ネックは速度だ。初期のビルドは RX 9070 XT の 1080p で 20 fps を切っていた。9月12日付のバージョン 0.3.0、Cyberpunk 2077、1080p、Ultra での作者の計測はこうだ。
| FSR のモード | パストレーシングなし | パストレーシングあり |
|---|---|---|
| Native / FSRAA | 30 | 19 |
| Quality | 57 | 37 |
| Balanced | 67 | 43 |
| Performance | 71 | 50 |
この跳ね上がりをもたらしたのが、罠その4で触れた「アップスケーラーの前」で走らせるモードだ。作者は RTX 5070 Ti に追いつくことを目指しているが、いまはまだアルファ版で、RE Engine のゲームは起動時やメニュー を抜けるときに落ちることがある。アンチチートはこのライブラリをブロックするので、マルチプレイの鉄則は ここでも変わらない。
性能と配信
高くつくものだと覚悟しておくこと。流出ビルドでのコミュニティの計測では、RTX 5090 で性能が 40〜45% 落ちると言われていた。90 fps から 29 fps へ落ちたという報告もある。
いまは製品版の数字も出ている。RTX 5090 の NBA 2K27、レイトレーシング込みの最高設定。
| 解像度 | DLSS 5 なし / あり の fps | 代償 |
|---|---|---|
| 1080p | 180 → 134 | −26% |
| 1440p | 176 → 108 | −39% |
| 4K | — → 63 | −50〜60% |
代償が解像度とともに膨らむのが見てとれる。これがまさに4番目の罠だ。ニューラルネットは出力解像度で 計算するので、その値段は DLSS のモードではなく画素数に付いてくる。(1080p ではさらに CPU で頭打ちに なっている。1列目の 180 と 176 がほぼ同じなのはそのためで、実際の代償はそこでも 26% より大きい。)
私の環境では 5070 Ti、1440p、DLSS Quality で 60 fps——垂直同期に張り付いた状態で、GPU 使用率は 97% だった。
そしてここが配信者に固有の不幸だ。使用率 97% ではエンコーダーに回る分が残らない。NVENC は同じカードに 住んでいて、順番は最後になる。ゲームの映像は滑らかなのに、配信のほうが途切れる。回線のせいにされがちな 古典的な図だ。
効くのはこのあたり。
- フレームを制限して余裕を残す。上限ではなく使用率 85〜90% を狙う。
- 配信中はニューラルネットを切る。 気持ちのいい話ではないが正直なところ、いまの DLSS 5 とカード1枚での 配信は両立しない。
- DLSS のモードではなく出力解像度を下げる。理由は罠その4のとおり。
代償は2枚目のカードに肩代わりさせることもできる。 今週いちばん意外だった発見が、ReShade 用アドオンの MGPU Bridge だ。ゲームは1枚目のカードで描き、完成した フレームをもう1枚に送る。そちらがニューラルネットに通し、自分につながったモニターに出す。作者の計測は RTX 5060 Ti 16 GB の2枚構成、The Blood of Dawnwalker、1080p に DLAA。DLSS 5 なしで 67〜70 fps、メインの カードでニューラルネットを回すと 44 fps、2枚目で回すと再び 67〜70 fps。条件は厳しい。カード2枚に加えて モニター2台 を1枚に1台ずつ、そして DirectX 12 のみ。2枚目のカードは RTX 50 か、パッチ済みライブラリを 使った RTX 40 に限られる。
実務的な細部:排他フルスクリーンでは OBS に Game Capture が要る。Display Capture ではなく——後者は 真っ黒な画面を返すことがある。
新しいビルドの入手先
最新のファイルがある唯一の場所は RenoDX の Discord だ。#dlss5 チャンネルのピン留めメッセージに
アドオンのビルドとパッチ済みライブラリが置かれ、#dlss5-forum にはゲーム別のスレッド、#guides には
出来合いのレシピがある——Skyrim、Fallout 4、Witcher 3、S.T.A.L.K.E.R. 2、Metal Gear Solid 4 など。
公開インストーラーやアップローダーのパック類は遅れている。実際に確かめた。オールインワンを謳う ものが持ってきたのは3日前のビルドで、その3日のあいだに更新が二つ出ており、うち一つはまさに私の問題を 直すものだった。
前の段落への但し書き
一週間でこれは無条件の真実ではなくなった。8月30日に私が痛い目を見たバージョン 1.1.1 の DLSS5-Swapper はゼロから書き直され、9月12日には 2.2.7 に達した。もう別物の道具だ。Steam、Epic、GOG、 Xbox のゲームを自分で見つけるライブラリ、四つの導入ルート(RenoDX のアドオン、DLSS のないゲーム向けの DLSS5-Feeder、OptiScaler DLSS-NR、マルチパス)、エミュレータのプロファイル、32ビットの DirectX 9/10/11、 ゲーム内でアドオンの設定をいじれる F8 のオーバーレイ、そしてゲームのフォルダを元の状態に戻す Restore originals ボタン。2.2.7 ではほかの人のレポートが見られるようになり、グラフィックスカードで絞り込める。 自分のゲームで誰かが動かせたかを先に確かめられるので、そのために一晩をつぶさずに済む。「ランチャーの薄い ゲームを見つけられない」という不満は、古い版の話だ。
それでも原則は変わらない。少し緩んだだけだ。ビルドの日付を見ること。この界隈は何もかも週単位で動く ので、3日より古いオールインワンはまた古びている。
RTX 20/30/40 には パッチ済みの nvngx_dlssnr.dll が必要になる。詳しくは
RTX 50 以外のカードの節で。RTX 50 では通常版でいい。
そっくりサイト
この一週間で、DLSS 5 のまわりにはプロジェクト名とほぼ同じ名前のサイトが湧き、「インストーラー」を配って
いる。DLSS 5 Bridge の作者たちは dlss5bridge.com についてわざわざ警告を出した。プロジェクトとは無関係で、
そこの .exe は Hybrid Analysis で悪性と判定されている。ほかのファイルを Microsoft Defender の除外に追加
しようとするプログラムだ。本物の DLSS 5 Bridge にはそもそもインストーラーがなく、.addon64 ファイル一つ
だけでできている。
守るべきことは三つ。ダウンロードは GitHub のリリースページか RenoDX の Discord からだけにする。SHA-256 を 照合する。DLSS5-Swapper や DLSS 5 Bridge をはじめ、まともなプロジェクトならリリースの説明文にハッシュ値が 載っている。そして、アンチウイルスを切れ、除外を追加しろと自分から求めてくるものは実行しない。上で触れた GTA IV のフォルダの除外は、自分の手で、特定のゲームのために追加するものだ。断りもなく Defender に手を出す インストーラーに出会ったら、そこで手を止めること。
やってはいけないこと
無駄に終わった試みの短い一覧。一晩を節約してほしい。
- 何かが直ることを期待して ReShade のプロキシライブラリの名前を
dxgi.dllからd3d12.dllへ 変えないこと。 ReShade は自分のファイル名に関係なくすべてのグラフィックス API にフックを掛ける。 名前が決めるのは、Windows がそれをどう読み込むかだけだ。 - 別のゲームの Streamline のライブラリを持ち込まないこと。 バージョンが合わず、Streamline はそれを 照合して丸ごと落ちることがある。動いていた DLSS まで道連れにする。
- ゲームが対応していないなら Ray Reconstruction を追いかけないこと。 エンジンの対応がない
nvngx_dlssd.dllは、ただフォルダに転がっているだけだ。 - 「ログからエラーを消す」ためにアドオンの
Enable Upscalingをオフにしないこと。 互換性は直らず、 診断だけが黙る。目を潰すぶん、むしろ悪化する。 - NVIDIA App のスイッチを待たないこと。 来ない。ニューラルレンダリングを有効にするかはゲーム開発者 の領分だと NVIDIA が認めている。アップスケーラーには Override があるが、ニューラルネットには付かない。 アプリをいくら更新しても同じだ。
- Mod 版のニューラルネットがもう動いているなら、ドライバを更新しないこと。 616.64 以降では多くの環境で 落ちる。616.56 で動いたなら、そのままにしておく。
- そっくりサイトから DLSS 5 をダウンロードしないこと。 入手先は GitHub のリリースと RenoDX の Discord だけだ。
- マルチプレイに入らないこと。 三度目になるが、この一覧で金がかかるのはここだけだ。
まとめると、一式を揃え、ゲーム内で DLSS が有効になっていることを確かめ、ReShade.log を見て、
アドオンのビルドが新しく、ドライバは新しすぎないことを確認する。これで5点。動かないなら、ほぼ間違いなく
どれか一つを飛ばしている。なお、遊びたいのが NBA 2K27 なら何も要らない。ドライバ 616.64 と、映像設定の
スイッチだけだ。
関連するものとして、当サイトにはPC版 GTA VI について分かっていることがある。動作環境と、 Rockstar が表明している技術を追っているページだ。